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2006年11月14日 (火)

コミュニティソリューション

 「エコマネーの世界が始まる」で、本書についての記述があったため、読んでみました。

 本書では、第1章で、指揮者のいないオーケストラ オルフェウス の紹介から始まります。「指揮者のいない」ということに着目し、自発性と相互信頼に基づく行動でも、管絃楽団が成立することを示しています。

 次に取り上げるのが、リナックスの開発です。リナックスの開発は、企業による統制のとれた手法ではなく、分散的なコミュニティによるものとされています。管理されたソフトウェア方式を伽藍に見立て、リナックスの開発をバザールになぞらえるエリック・レイモンドの文章を紹介しています。

 これらのような動きに見られる情報の共有と共同資源化という手法で、問題を解決していく手法をコミュニティソリューションとし、それが起こる情報と関係の共有の場をコモンズとしています。

 コモンズでは、次のプロセスが起こっているとします。

  •  人々が自発的に集まり、情報・技術・問題などを持ち寄る
  • 共有された情報が編集され、そのことでコミュニティの何かが変化し、新しい関係や意味が出現する。
  • 持ち寄った情報や変化の経験が、蓄積され、共有資源となる。
  • 具体的な成果があがり、各自が果実を持ち帰る。(それが誘引となって最初のステップに戻ってサイクルが回る。)

 そしてコモンズでの運営には、下記の要素が大きな影響を与えているとします。

  • ルール 自生した規則性
  • ロール 自発的にわりふられた役割性
  • ツール コミュニケーションのための道具製
  • 弱さの強さ
  • 相互編集プロセスと編集者

 さて、コミュニティソリューションにより、どのように成果を挙げることができるかというのが、本書のテーマのひとつとなっていますが、それ以外の問題解決の手法として、マーケットソリューション、ヒエラルキーソリューションというのをあげています。

 マーケットソリューションは、市場(経済的)による解決、ヒエラルキーソリューションは、統制的解決とあります。ヒエラルキーソリューションとは、権限と強制力のある第三者が統制する手法をいいますが、現実の社会では、その第三者性というのは、成り立ちにくいところがあると思われますので、ヒエラルキー組織的解決、政治的解決とでもいうべきでしょうか。

 著者は、それぞれに向いた問題があるとしています。そして、コミュニティソリューションに向いた分野はヒューマンサービスではないかとしています。

 さて、読んでみての感想ですが、コミュニティソリューションとヒエラルキーソリューションですが、必ずしも厳密に分けられるものではないでしょうか。

 例えば、世界的企業であるモルガンスタンレーでは、先に紹介したオルフェウスのプロセスと自らの企業文化との共通点を指摘しています。

http://www.msdw.co.jp/aboutms/community/event/010605.html

 情報の共有と意思決定についての方向性の違いとも考えられると思います。

 残念ながら、この本の執筆が2002年とのことで、事例が少々古く感じるところがありますが、なるほどと思うことも多々ありました。

 

  

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