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2006年10月19日 (木)

エコマネーの世界が始まる

 前回、「あたたかいお金」エコマネーで 紹介した表記の本の前編にあたる本です。「あたたかいお金」エコマネーがQ&A方式であったのに対し、こちらはきちんと章立てされていますので、わかりやすかったです。

 この本は、3部構成になっており、第Ⅰ部がエコマネー、第Ⅱ部がエコライフ、第Ⅲ部が時間デザインとなっています。

 地域通貨系の本が、既存の通貨に対するアンチテーゼ的な問題意識にあふれているのに対し、こちらは通貨の問題より、ライフスタイルやコミュニティのあり方に対する意識が強いように感じました。

 第1部では、エコマネーの紹介が行われています。地域通貨系のものと一線を画すのは、市場経済で流通するものに使用することを差し控えるべきとの態度です。理由として、国の通貨発行権との関連や税法上の問題、信頼が基本となるべきボランティア経済が貨幣経済に「飲み込まれてしまう」ことを防ぐためとしています。

 面白いと思ったのは、エコマネーに「請求権」を認めるべきではないとの考え方です。ボランティア的な行為の交換に対し、互酬的な行為として、感謝の念を示すことであるため、「請求権」といった考え方はなじまないとしています。

 互酬的な行為をボランティア経済として貨幣経済の対極に位置づけるのは、やや疑問がありますが、実践において、前提を「感謝の念」とすることは、交換に伴う色々な問題点に対して整理がつけやすいのではないかと感じました。

 ボランティア経済と貨幣経済を対極に位置づけることが疑問というのは、「あたたかいお金」エコマネーで記述したように、グレーゾーンの存在です。

 例えば、感謝の念を表すのに贈り物を贈ったりする文化は、昔から日本にありますよね。実際のコミュニティでは、様々な交換が行われているのが実態だと思います。

 第2部では、エコライフについて取り上げています。「あたたかいお金~」では、なぜ”エコ”マネーなのかがわからなかったのですが、これを読んでわかりました。

 この本では、現在生じている環境破壊などに対する問題意識として、持続可能性という考え方を浸透させるために、従来のGNPなどの指標では図れないという視点を持っています。

 それに対しアメリカのハーマン・デイリーとジョン・コップが開発した「持続的経済厚生指標」では、「社会的費用」を考慮に入れ、算出することを紹介しています。

 そのことにより、GNPが上がるような行為でも、「豊かさ」にはつながらないこともあること示しています。実例として、働きすぎで病気になって入院したような場合、働いたことで総生産があがり、入院したことで、医療費がかかるということでGNPなどにプラスに加算されるという例を示しています。無理のない範囲で働いた場合は、生産もあがらないかわりに医療費はかかりません。個人の実感としては、健康であるほうが「豊か」ではないかという問題意識です。

 さて、このような「社会的費用」がかさまないような生活を実現するには、どのような仕組みが必要となるのでしょうか。

 著者は、「情報とサービスは豊かに、モノとエネルギーは慎ましく」ということを提案します。そのために所有から使用へ価値観を転換することを提言しています。

 地域通貨系の論調だと、通貨の貯蓄機能と交換機能の矛盾からくるとの視点で、環境破壊を語ることが多いのですが、こちらではライフスタイルそのものを見直していく必要性を強く意識していると言えるでしょう。

 第3部では、時間デザインについて、述べています。日常生活の時間を「生存時間」「労働時間」「余暇時間」に分け、それぞれがデザイン可能となりつつあるとしています。

 また別の切り口では、だれもが共通する時の流れ「共通時間」と自分なりの時の流れ「自分時間」の両立の重要性を指摘しています。

 そして他人との時間の共有による新しいコミュニティの創生を論じています。

 ここで取り上げられたいくつかの概念は新鮮に感じました。一方、例えば労働時間に関することなどは、やや違和感を感じたりした部分もあります。

 いずれにしても、補完通貨論とは、一味違っている視点があるところが、面白い本でした。

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