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2006年9月26日 (火)

地域通貨入門

 地域通貨とは、特定のメンバー・地域等の間で、物やサービスをやりとりする際に通貨のように媒介する仕組みをいいます。

 この本では(欄外の「最近読んで面白かった本」を参照)、お金の機能を「価値尺度」「交換手段」「貯蓄手段」の3つに整理し、現在のお金や通貨システムの問題点を論じています。そして、それらの欠点を補完するものとして、「補完通貨」としての考え方を打ち出しています。

 そして世界各地の補完通貨の実践例の紹介の後、「持続可能な世界に向けて」と題して補完通貨の有用性を主張されています。

 読んだ感想としては、補完通貨というものの有効性については、あるかもしれないなと感じました。単純ですが、某CMのように「ふたつあるといい」程度の理解いうのが、正直なところです。

 ただ、違和感を感じたのが、次の点です。

  1. 持続不可能性について
  2. 米ドル本位制への評価
  3. 陰陽の概念について
  4. 地産地消について

 持続不可能性については、主に金利というものの持つ欠点や福利というシステムの問題、中長期の投資に向かないことなどを主な理由としてあげています。しかし借りるという行為も必要性があって行われるのではないかなという気がしました。このことについては、また別に考えて見たいと思います。

 米ドル本位性についは、アメリカに有利なシステムだと主張されています。またイラク戦争に踏み切った理由のひとつとして、挙げているのですが、その根拠が書かれていないのです。(一般向けの本のためでしょうか。)根拠の書かれない政治的要素のある結論というのは、ちょっとそのままは受け取りにくいかなという気がします。

 陰陽の概念については、企業活動など生産活動などを「陽」と捉え、NPOなど非営利活動を「陰」と捉えているようです。ベルナルド・リエターさんと言う方の書いた別の本から来ている概念のようですので、そちらまで読まないと正確な理解とならないのかもしれませんが、2元論で、営利、非営利を捉えるというのが、どうもしっくりきませんでした。現実には、その中間がわんさかあるような気がするのですが。

 地産地消については、地域単位で経済流通することを高く評価し、地域外へ富が流出しないという観点で評価しているように見受けられました。しかし、地域外との交流は、マイナスばかりでない例もあるのではないかという気がしました。逆に都市のベッドタウンのような事例では、地産地消では、地域が成り立たないのではないかなとも思います。

 以上の違和感があったものの、「貯蓄手段」と「交換手段」との矛盾から、一定のジャンルでは、「減価する貨幣」というのが有効であることや「補完通貨」の有効性については、納得がいくものでした。

 また良いところは、他の人の本や文献を紹介する際にフルネームであることです。学者の先生が書くような名前だけの引用だとそれを探すのに大変手間がかかります。村社会的にお互い知っているのが当然のコミュニティならば、それで良いのでしょうが、最近のように分野外の人が読む可能性を想定するのであれば、この本のようにフルネームで記述してほしいものです。(まあ一般向けだからでしょうが)

 文章も平易で分かりやすかったです。

関連記事

 金利と持続可能性 http://rizoaka.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_7559.html

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 東洋経済 ポイントカード大氾濫 

  http://rizoaka.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_e9d2.html

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